予備校講師のつぶやき 〜教育改革がいきる力を育む〜

地方在住の予備校講師(英・国・小論文) STARWARSが何より好き (SNOOPY、チェブラーシカは別格扱い)

"アメリカ一人旅 ⑤ (Backpacker in Los Angels)"

サンフランシスコからロサンゼルスに入り、バスターミナル近くでA.A.ミーティングに参加し、レスラーのような警察官から "very safe place"とアドバイスされた前回。

 

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警察官が歩き去り、そのままブロックの角に立っていた僕。ふと斜め後ろを振り返ると、二階建ての簡素な建物がいくつか密集しているところがありました。

 

視力2.0(子供時代はそれ以上あった気がします)の僕には見えました。その建物のあたりから、確実に20〜30人の人間がこちらを見ているのです。

そしてその時点で、2ブロック四方見回しても、通り沿いにいるのは僕だけ。明らかに「僕だけ」を見ていました。薄暗さも増し、広い通りに一人、背中にはバックパック、空にはL.A.P.D

 

 

さすがに「まずいなあ」と思い、Downtownまで歩こうかとも思いましたが、僕の脳内の地図ではまだかなりの距離があります。その途中、僕はずっとカモネギなわけで、考えた末に、バスに乗ることにしました。

 

ちょうど先ほどA.A.が開催されていた公園の前にバス停があったのを思い出し、そこに戻り時刻表を確かめました。15分〜20分待てば乗れそうだったので、背中の荷物を地面に置き、緊張をほぐすために、Marlboroを吸いながら佇むことにしました。

 

昼間よりも夜は一層人気がないエリア、ガイド本には確か「ホームレスが多い」と書いてあった気もします。多少のリスクは覚悟していましたが、心中は、さすがに不安になっていました。と同時に、「日本に帰ったらいいネタになる」とも。。。

 

バス停に立ち10分ほど経った頃、あたりは静まり返った中、どこからか、HIP-HOPの音楽が聞こえてきました。目を凝らすと、1ブロックほど向こうから、ラジカセ?を肩に担いだ黒人男性2名がこちらに近づいてくるのが見えました。

『L.A.のストリートで黒人の若者がラジカセ担いで歩いてる』

「映画のまんまやん」と、また、内心「ニヤリ」としたのは事実です。

 

 

「歩道の道路沿い」に立つ僕

「歩道の逆側」を歩く彼ら

彼らが何事もなく後ろを通り過ぎてくれることを熱望しながら、

目線を合わさないようにMarlboroくわえてました。

 

 

僕たちの距離

30メートル

20メートル

音楽と彼らが同時に近づいてきます。

 

その時点で、さっきの警察官より背が高い彼ら2名がはっきり見えました。「見えた」と同時に、「見た」わけですから、当然、完全に目が合いました。

 

すると、彼らの歩く方向が変わりました。

「歩道の逆側」から「歩道の道路沿い」へ

つまり、僕は「Lock On」されたということです。

 

そのまま真っ直ぐこちらに向かってきます。彼らの目線も「僕だけ」に向いています。

 

 

考えました。。

「デニムのポケットに現金10ドル、バックパックの下着の包みの中にトラベラーズチェック300ドル。キャッシュカードは、奪われてもどうせ残高も微々たるものだからOK」

何がOKだかわかりませんが、自分で納得しました。

しかし、被る可能性のある、肉体的・精神的損害には頭がまわっていませんでした。

本当に馬鹿だと思います。

 

 

頭の整理をすませ、腹をくくりました。

「金目のものはくれてやる、でも、大和魂だけは守る!」

本当に僕はそう思っていました。本当に馬鹿です(苦笑)

 

 

僕たちの距離

5メートル

 

僕はその時

両手を肩の高さに上げ、構えました。

バス停に向かって。

 

実は、僕は当時ブームになっていた「フルコンタクト空手」の道場に通っていました。「変な自信」と「妙な愛国心とが意味なく絡み合い、「逃げたくない」という愚かな気持ちが湧いたのだと思います。

 

普段から「シャドウ」(目の前の仮想敵に一人で戦う練習方法)を行っていた僕は、目の前の「バス停」を仮想敵に「Lock On」しました。

 

 

「シュッ、シュッ」という小さな呼気

軽くステップを踏み

ワンツー(両拳でジャブ・ストレート)

左足でローキック

そのまま

右足をふりあげハイキック

 

何の罪もない「バス停」に打ち込みました。

 

ハイキックを放った右足が「バス停」を捉えた瞬間、

彼らのラジカセよりも大きな音がしました。

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なんせ、金属製のバス停でしたから。

 

それを見た彼らは、一瞬立ち止まりました。

 

こちらをしばらく凝視した後、

歩道の逆側へとルートを戻しました。

 

  

勝ちました。

 

 

そして僕の後ろを通り過ぎる時、彼らの会話が少し耳に入りました。

聞きとれたのは "insane"

insane

①頭が狂っている、正気ではない

②[俗語]かっこいい

②であることを望みます。

 

 

その後、何の罪もない「バス停」に謝罪し

足の痛みを隠しながらバスに乗りました。

 

 

 ノンフィクションです。

(生徒達に話す時は、実際シャドウをさせられます(笑))

 

 

「天使のいる街」ロサンゼルス

これで終わりませんでした。

「天使などいなかった」ことだけは間違いありません。